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マウントデリシャスの日記です。


by mtdelicious
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ラブリー回想録その3~リベンジ成るか                   ラブリ


前スレ続き。
この、駅で犯罪の片棒をかつがした後輩。
この子とは、大学時代、帰り道がいつも一緒だった。

大学で同じバンドを組んでいて、
部活後の夜遅くにいつも、かえろーぜーという感じで
連れ立って帰ったものだった。

彼はべーシストだった。
黒いボディのアトリエのJBで、確かヒップショットがついてたと思う。
もち4弦。
これは彼によく馴染んでいて非常な音がした。
アトリエはドンシャリで名が通ってて、自分もかつて
アトリエを買うか、どうするか・・と分不相応に迷ってみたものだけど、
彼が持つと、アトリエ特有のギラリとした音というよりは、
柔らかな玉のイブシ銀のような音がした。
ちょっと貸してよ、と私が弾いても、そのベースはもう
そういう音になっていた。
飼い主に似る。

電車が止まったことがあって、
これは今でも忘れない。
大混乱になった沿線上は、全ての改札が
フリーパスになった。
私達は迷った挙句、こうなったら歩くか!と腹を決め、
混雑をかき分けて改札をでた。
春の月夜で、ひっそり静まり返った町並みは青く光っていた。
アトリエは重い。凄く重い。
何キロもの道のりを、いつしかベースケースについている取っ手を
片方づつ2人でぶら下げて持ち、自分たちは延々と歩いた。
とそのうち、
どうせ電車は止まってる。
一番近道で、線路を歩こう!という事になった。

満月は、真っ直ぐな線路の一番先ににぽっかりと
浮かんで、ひと筋に私たちの線路を照らした。

一本の月光の上を歩くように、線路の上をどこまでも
影を付けて歩いたあの春の夜を、色んな事を忘れた今でも、
自分はよく覚えている。


私たち軽音楽部は、OB上級生下級生あわせると
相当な人数にのぼり、しかし後にも音楽をやる人は一人も残らなかった中、
私達のバンドのメンバーだけは、卒業後も全員が
少なくともセミプロになった。
音楽によって生きる人になった。

この後輩のライブを先日見たが、
相変わらず。
変わってないねえ。
一緒に観に行った先輩が暖かい表情でそう言う
目線の先を、私も熱くなる胸でじっと見た。

もし、これを読んでいたら。
覚えているかね?いいちこのポスターを、
駅員の目をかいくぐり、客の視線をあしらい、
ちょっとーイヤですよお~と渋る君のしりを叩き、
「いいから!ホラそっちがびょう取って!」
いそいでいそいで~

とえっさかほっさか持ち去ったあの日の事を。
なつかしいだろ。

いいちこの味はまだ知らない。
次に塩原に行ったら、いいちこ飲んでみっかな。
多分、甘い青春の味がする。
by mtdelicious | 2007-03-10 01:56 | ラブリーレイナ